『悲しむべきこと』
新潮文庫、番号15、『ボッコちゃん』収録。
星新一ショートショート群には、クリスマスをモチーフにした作品も少なくない(はず)。
将来的に、仕分けできたらお面白いかもしれない。
で、そのクリスマスは、幸せな話とそうでない話とに分かれる。
本作は当然、後者。
ネタバレ防止で明言を避けるが、この話のサンタクロースが、まず悲しい。
で、そのサンタクロースを言葉巧みにそそのかすエヌ氏が、また悲しい。
この世界に優しさはないのかい?って言いたくなる。
そして、執筆された当時から時が過ぎ、もっと悲しむべき事態が訪れた。
本作では、世間で最も景気がよい業界として、デパートが取り上げられている。
そこに行けば現金があると。
けれど、この令和21世紀、デパートは苦戦している。
ソシャゲ界隈の方が賑わっている。
現金そのまま置いてる大企業もないだろう。
いつの時代にも通じるように作られた作品が、とうとう古びていく事は
ファンとしては何とも寂しい限りである。
それでは。また次回。