この事件からである。
『名探偵コナン』という作品が、いよいよ本格的な引き延ばしを始めたのは。
ファンの間で「キール編」と呼ばれる一連の事件たちは、
実は全削除しても、影響はほとんど無い。
連載500話という事務的な区切りを皮切りに、
組織へのアプローチはやがて完全に停止する。
新たな組織員であるキールが初登場したと思ったら、
他にも新たな組織員であるキャンティやコルンなどが増えたと思ったら、
奇妙かつ難解な暗号をコナンが解いたと思ったら、
何とキールは交通事故で昏睡状態になってしまう。
彼女が眠り続ける限り、彼女が目覚めない限り、物語は進まない。
その彼女の動きは、作者のまさしく筆一本で決まってしまう。
永遠に無限に連載を続ける事も物理的には不可能でないという、
ある種の異常事態に突入したのだ。
問題点はまだ有る。
はじめは「コナンVS組織」だったはずの図式が、
「FBI VS組織」にスライドしてしまった事だ。
本来コナンは無力な小学1年生のはずなのに、
まるでFBI職員の一人のように扱われている点は、
私には歪(いびつ)な描写に感じてしまうのだ。
それでは。また次回。