好事家の世迷言。(続)

調べたがり屋の生存日記。gooブログから引っ越し中。

「蒼紅の冒険者」第74話「女サテュロスの村」

翌朝。雨は止んでいた。
洞窟の中から、魔法に使えそうな石粉や小石を拾って、ぼく達は再び歩き始めた。

安全第一を目指して、出来るだけ登りやすい山道を選んでいく。
その途中、変わった姿の人たちと出会った。
すらりと高い背丈、長い髪をした女の人の二人組。
ただし、上半身こそ人間だけど、下半身は……山羊だと思う。たぶん。

その後、お互いに自己紹介して分かった事は……。
ココはザメン低地でなく、ザメン高地――マンパン砦の近くである事。
彼女たちはサテュロスという種族である事。
世界を巡る冒険に憧れているが、この高地でしか生きられないという事。

「旅の者よ。どうか、遥か南のアナランドからの旅の話を聞かせてほしい」

そう頼まれて、ぼく達は彼女たちの村に招かれた。
もしかしてと思って、洞窟で見つけたメモ書きを、
長老のシフーリさんに渡したら、予想が当たった。

「コレは先代長老のシハウナの遺した物だ。よく届けてくれた」

それからは改めて、今までの冒険についてのトークを開始。
カレーの町で衛兵に追われた事とか、四行の呪文を探した事とか、
七大蛇とバトルした事とか、イルクララ湖を渡った事とか。
ちなみに、湖の渡し守は「テク・クラミン」という名前だったそうだ。
サテュロス達と知り合いだったらしい。

ぼくの話が一段落した頃、今度はシフーリさんが話し始めた。

「我らが友よ。マンパン砦の天守閣への道は、
 四つの『スローベン・ドア』で閉ざされている。
 せめて、これからの旅に役立つ物をお渡ししよう。
 まず、コレは堅木の槍だ。聖職者コレトゥスの祝福を受ければ、より強力な武器になる。
 それから他にも、いくつか魔法の道具がこちらにある。好きに選んでおくれ」

見せてもらった物の中からぼくが受け取ったのは、火の水と、真珠の指輪。
いつ使う事になるかは分からないけど、ありがたく持っていきます。

さあ、砦の入口まで、あともう一息だ……!