好事家の世迷言。(続)

調べたがり屋の生存日記。gooブログから引っ越し中。

事件24『外交官殺人事件』(第10巻)考察。

第一の『コナン』最終回である。

この事件の注目ポイントはモチロン、新一の劇的な復活だ。
なぜか大阪から押しかけてきた「西の名探偵」こと服部平次
なぜか土産に持っきた中国酒「白乾児(パイカル)」で、コナンは一時的に元の姿を取り戻す。
そして、「真実はいつも一つ」というあの名台詞を実際に遣った、唯一の場面が登場するのだ。

なお、余談ながら、「白乾児」は、『ルパン三世』でのゲストキャラの名前の一つ。
「暗黒街の魔術師」を名乗る殺し屋である。

ところで、この考察のために、久しぶりに単行本を読み返しているわけだが。
とにもかくにも驚いたのが、平次というキャラクターの変貌ぶりだ。
今の彼とはもう、完全に別物になってしまっている。

基本的にはクールでドライでビジネスライク。
それでいて飄々とした態度の中に、情熱を秘めている。
当時の彼は、本来的な少年漫画の主人公像そのものだったのだ。

そんな二強の名探偵が揃い踏みしている構図は誠に結構なのだが。
事件トリック自体は、一見単純なようで、よく考えると何とも複雑。

特に奇妙なのは、犯人のトリックが
「適度なレベルの探偵役が現場に訪れる事」を前提としている点。

ごく普通の探偵や警官でもダメ。全ての真相を見破れる名探偵でもダメ。
このような微妙なトリックに“使われた”時点で、平次の今後は予見されていたのかもしれない。

ともあれ、殺人事件は解決するものの、ストーリーは完結せず、次の事件へなだれ込む。
今回は、こうした重要な局面を迎えたパターンが、初登場した事件でもあったのだ。

それでは。また次回。