門の向こう側は、広々とした中庭だった。
闇の中、所々に明かりが灯っていて、人々(?) が少しずつ固まって動いているのが見える。
中央にあるのは噴水みたいなオブジェ。
そのずっと先にあるのが、目指す尖塔の玄関、だと思う。
あたしは目立たないように気をつけながら、
中庭の高い壁に沿って、暗闇を忍び足で進んだ。
すると、左の方から、何となくイイ匂いが漂ってきた。
四人くらいで囲んでる焚き火からだ。
よく見ると、そこに居たのは――やっぱり――醜い魔物の集まりだった。
イボだらけのオーク。緑色の肌をしたドワーフ。
それから、泥まみれのゴブリンが二人。
彼らはちょうど食事を終えたところだったようで、甲高い声で口々に騒いでいた。
ところが、あたしに気づくと、彼らは急に黙り、探るような目で睨んできた。
理由なら分かる。あたしが“清潔すぎる”からだ。
少なくともこの彼らと、あたしとは絶対に相容れない。
関わればお互い、その身に毒をもたらし、死んでしまうのだ。