翌朝。
おいしいご飯と、あたたかい寝床のおかげで、
かなり疲れから回復できた。
そろそろ行こうと洞窟を出ようとした時、
シャドラクさんがぼく達を呼びとめた。
「そうだ。コレがあんたの旅の手助けになればいいが……」
シャドラクさんが渡してくれたのは、ラッパのような形をした笛だった。
魔力をこめると、不協和音と共に大風を巻き起こせる「疾風笛」だ。
「ありがとうございます!」
お礼を言って受け取ろうとしたら、シャドラクさんの顔色が変わった。
ぼくの手をじっと見つめている。
「あんた……その指にはめているのは、『銀蛇の指輪』じゃないか!」
「え?」
コレは確か……そうだ、ハーピーと戦ったお礼にもらったやつだっけ。
「ソレは非常に貴重な品だ。
もし七大蛇と出会ったら、その指輪をつきつけるのだ。
そうすれば七大蛇は、指輪の力に支配され、
あんたに有利な証言を一つだけしてくれる。
くれぐれも、その指輪を見せる機会を忘れぬようにする事だ」
「……はあー……」
驚いた。
まさか、そんな大層な物だったとは。
人に渡したりしないで良かったよ。