好事家の世迷言。(続)

調べたがり屋の生存日記。gooブログから引っ越し中。

『はじまりの魔女』第4話「初めての戦い」

普段の生活だったら、決して近づいちゃいけない相手だけど。
今は四の五の言ってられない。
ドワーフのそばには、やけに輝く小瓶が置かれている。
それを見極める意味も兼ね、あたしは敢えて強引に焚き火の前に座った。
面食らってるオークに、出来るだけ低い声で凄んだ。

「そこのあんた。あの尖塔に入る方法を教えなさい。早く」

魔物たちは戸惑っている様子で囁き合った。
オークは尖塔の方を指差して、たどたどしい言葉で教えてくれた。

「あそこ。玄関。入る。合言葉。『シミター』」
「そう。それじゃもう一つ。そこにある小瓶は何?」

さりげなく聞いた途端、一同は落ち着きを失った。
ドワーフは混紡を振りかざして立ち上がり、ゴブリンとオークは剣を抜いた。
問答無用で詰め寄ってくる。
あたしは危うく、小剣を構える事に間に合った。
彼らはもう、目の前まで素早く迫って来ていた。

……やっぱり、こうなるのね。
せめて一撃で終わらせよう。
何と言われようと、あたしは、こんな事やりたくないんだから。