好事家の世迷言。(続)

調べたがり屋の生存日記。gooブログから引っ越し中。

探偵が探偵を辞める時。

トレント最後の事件』(by E.C. ベントリー)、読了。

「最後の事件」と冠された事件での探偵は、ロクな道に進まない。
少なくとも、私が今まで読んできた本では、ドレもそう。
いきなり死体役になってたり、果ては真犯人になってたり。
元祖のホームズからして、生死不明の行方不明になったりしてるくらいだから、
仕方ない事なのかもしれないけれど。

さて。それで、この度の本の主人公は、画家にして探偵のフィリップ・トレント
自信にあふれた明るい二枚目、新聞社に信頼され、警察とも知り合いという、
典型的な名探偵キャラ。
このトレントが立ち向かうのもまた、屋敷の富豪が殺されるという典型的な殺人事件。

しかし。
少しだけネタバレしてしまうと、トレントはこの殺人事件を解決できない。
間違った前提の下、間違った結論を導き出し、捜査から手を引き、
最終的には探偵業から引退してしまうのだ。

と言ってもトレント、決して事件をないがしろにしたわけじゃない。
あくまでも、彼なりに事件に真剣に取り組んだ結果なのだ。
何故なら、ヒロインに惚れちゃったから

実際、トレント以外の誰も、この事件を解く事は出来なかったのだ。
その元凶は結局、殺された被害者本人なんじゃなかろうか。
被害者があんな真似やらかしたら、解ける事件も解けないと思うんだ(汗)。

被害者以外、幸せになってるという意味では、ハッピーエンドの話です。

それでは。また次回。