『年賀の客』
新潮文庫、番号16、『ボッコちゃん』収録。
富豪の家を訪ねた客が、その富豪から、謎めいた因縁を突然打ち明けられる。
その深刻な話しぶりから、てっきり客は、自分がその因縁の元凶なのだと思わされ震え上がる。
こちら読者も、てっきりそう想定して読み進める。
すると、今まで何の前振りもなく急に現れた別のキャラがその元凶だと示される。
客は全く関係ない、ただの聞き役でしかなく、読んでるこっちもずっこける。
思わせぶりな伏線を敷いておいて、それをズラして外すオチという次第。
なお、余談ながら、私が子供時代に読んだ本には、「肩をすくめる」という表現がやけに多かった記憶がある。
海外小説から翻訳された文章をよく目にしていたから、より印象が強いのかもしれない。
それで「竦める」という漢字で書く癖もついたと思う。←子供の書く字じゃない。
それでは。また次回。