好事家の世迷言。(続)

調べたがり屋の生存日記。gooブログから引っ越し中。

「蒼の魔法使いの挑戦」第31話「GODの呪文」

どうしたの? 今日は随分と不機嫌そうね。
大事に取っておいたはずの焼き菓子が見当たらない?
ああ、それなら昨日先生が食べちゃいましたけど、それが何か?
そういえばあなた、もともと髪が逆立ってる方だけど、
今日は一段と尖ってるように見えるわね。
誰のせいだ!って顔に書いてあるわ。ふふふふふ。
そんなあなたに、ちょっとだけ、この黄金石を見てほしいの。
あなた、こういうきらきらしてる物、好きでしょ? ……見たわね。

「GOD――!」

ええと、それでどこまで話したかしら。
そうそう、あの焼き菓子の事だけど……え?
先生に食べてもらえたなら嬉しい?
髪も今朝は手入れが足りないから仕方ない?
それより早く修行しましょう勉強しましょうって?

あのね、今のあなたに言ってもよく分からないかもしれないけど、
これも魔法の実践なのよ。

「GOD」は、ある種の目くらましの魔法。
古代の魔法語で、恐れ多くも「神様」という意味で使われていた言葉です。
黄金石を見てからこの魔法を受けた生き物は、たちどころに術者に好感を持ち、
つまり一時的に親友みたいになれてしまうのよ。
だから今のあなたの気持ちは操られた結果だし、
焼き菓子は隠してあるだけだから安心して……って、
だからあんまりべたべたしないで。落ち着いて!