好事家の世迷言。(続)

調べたがり屋の生存日記。gooブログから引っ越し中。

どこかの日本の政治模様。

『セシューズ・ハイ 議員探偵・漆原翔太郎』(by天祢涼)、読了。

「タイトルだけで選んでみた」シリーズ。
全5話の連作短編集。
作者の天祢氏は、メフィスト賞の出身。

なお、初出は2011年。
確認してみると、2010年に鳩山由紀夫氏が首相を辞めて、
管直人氏が就任して、それで2011年に震災があったのは皆様ご存知の通り。

国会議員が探偵役とは珍しいなと思って手に取った時点で、
作者の目論見は成功しているだろう。

その探偵役を務めるは、二世議員の漆原翔太郎。
バカなのか天才なのか、ギリギリの分かりにくい境界をさまよう
謎めいた人となりが、彼に振り回される秘書・雲井を通して描かれる。

最終話では、全エピソードが伏線として機能し収斂する。
漆原が、文字通りの巨悪を衆目にさらして暴き出す様には、
爽快さと同時に、危うさも感じさせる。
確かにこの人は、世の普通の政治家よりも、
探偵こそが相応しいかもしれない。

続編の都知事編、それからデビュー作の『キョウカンカク』も、
いずれ読んでみたいと覚書。

それでは。また次回。