好事家の世迷言。(続)

調べたがり屋の生存日記。gooブログから引っ越し中。

「蒼紅の冒険者」第78話「第一のドア~衛兵戦~」

門を越えたと思ったら、また門。
これまた大きな門に、これまた大きな錠前がぶら下がっている。

「確か……コレが、第一の『スローベン・ドア』だ」

ひたいに指先を当て、考えこみながらつぶやくエッジ。

「強引に開けようとすれば、良くない結果が待っているはず。
 必要なのは、確か……どこかの鍵が……、くっ……」
「いいよもう。無理して思い出そうとしなくて」

それだけ分かれば充分だ。
ぼくは「HOW」の呪文を唱えた。

鍵があるのは……こっちの部屋だな。
魔力に従って、右の方に歩き、薄く開いている扉に忍び寄った。
耳をそばだてると、衛兵の声が聞こえてきた。
どうやらココは、衛兵の詰所のようだ。

「ヴァラックが言うには、今朝のアレはシンの篤志家の仕業だろうとさ。
 俺はそうは思わんが、何者かが居たのは間違いない。
 俺も確認してくる。ハヤンギの言う通りだ。あの扉の音は俺も聞いた」

話し声の主は、歩いてこっちに近づいてくる。
ぼくは頃合いを見計らった。
足音が扉の前で止まった瞬間を狙って、全力で扉を蹴破った。
勢いよく開いた扉に、衛兵が激突して後ろに吹っ飛ぶ。
ぼくは小剣に「RAZ」の術をかけてから、エッジと共に部屋に飛びこんだ。

二人いた衛兵を大人しくさせてから、ぼく達は部屋を調べた。
テーブルの引き出しを開けると、大きな鍵が見つかった。
両開きの門に戻り、鍵を差しこんで錠前を開けた。


第一の「スローベン・ドア」、これにて突破!