好事家の世迷言。(続)

調べたがり屋の生存日記。gooブログから引っ越し中。

「悪夢からの脱出」第23話「悪魔が召喚される」

食堂に戻って来た。
長いテーブルの上には、上等な銀食器。
おびただしい数のロウソクの灯るシャンデリア。
そして壁紙は全面、目にも鮮やかな深紅。

オレはカーテンのそばにある、呼び鈴の紐を引いた。
数分待つと、執事のフランクリンズが入って来た。
オレを見ると驚いた顔を見せてから、身をひるがえし、
今度はドゥルマー伯爵と共に入って来た。

「こんな夜中に、いったい何の騒ぎだね?」

怒りもあらわな伯爵に、しかし今のオレは用がない。
オレは床を蹴り、倒すべき敵に躍りかかった。
オレを何度も(悪夢で)殺しやがった奴の名前を叫んで。

「フランクリンズ!!」

シャンデリアからの反射によって、クリスナイフが鮮やかに輝く。
その光を受け、執事は高く悲鳴を上げた。
耳をつんざくほどの大音声と共に、床から蒸気が立ちのぼり、
その姿が変わっていく。

ウロコのある黒い皮膚。鋭く長い角と牙と鉤爪。山羊のような形の蹄(ひづめ)。

地獄の底から召還された悪魔が、真の姿を現したのだ。