『おーい、でてこーい』
新潮文庫、番号3、『ボッコちゃん』収録。
振り返れば、コレの感想を書く事に、ためらいがあった。
私の思う、この話のテーマは、ワンセンテンスで足りるからだ。
目の前の問題を安易に先送りすると、手痛いしっぺ返しを食らう。
一体全体どこにつながっているか分からない深い穴へ、
この物語の登場人物たちは豪快に物を捨てていく。
何せ、しょっぱなから、よりにもよって「原子炉のカス」(って核廃棄物!?)を放り込むのだ。
それも、ケースから出して、むき出しのままで。
正直なところ、今の時代に読むと、
最初に来るのがこの一番とんでもないインパクトのため、
その先の展開はどうにも威力が落ちてしまう。
この話が発表された当時は、放射能物質がそれほど危険物として扱われていなかった証拠だ。
なお、余談ながら。ご承知の方も多いと思うが、この作品は『世にも奇妙な物語』でドラマ化されている。
主人公を演じているのは、いかりや長介氏。
ご機会あったら見てみる事をオススメします。
それでは。また次回。