『殺竜事件』(by上遠野浩平)、読了。
再読である。
学生当時、『ブギー・ポップは笑わない』のシリーズと
一緒に買って読み流した1冊だった。
あの時は、一人称と三人称が章ごとに混じっていて
読みにくいという思い出が強かった。
が。今になって読んだら印象一変。
こんな傑作を、何となく読んで凡作扱いしていた私は間違っていた。
舞台は、いわゆる中世ファンタジー。いわゆる剣と魔法の世界。
ヒトでは絶対に敵わない上位種である「竜」の死体が発見された、
というのが発端にして前提。
主人公たちは、その死の真相を確かめ、ひいては戦を阻止するために、
世界中の「竜」たちを訪ねて回る事になる。
私たちとは異なる常識で生きている世界でも、
人々の考え方の根底は変わらない。
それを押さえてさえいれば、この通り、ファンタジー世界でも
ミステリは立派に成立する。
ご興味あれば、シンプルなトリックを彩る異世界を堪能してもらいたい。
それでは。また次回。