好事家の世迷言。(続)

調べたがり屋の生存日記。gooブログから引っ越し中。

「蒼紅の冒険者」第30話「フランカー再び」

二人で交互に道を選ぶうち、にぎやかな音と声が聞こえてきた。
ぼく達が近づくにつれて、その正体が分かってくる。
色とりどりの天幕。大勢の人々。
ココは、お祭りの会場なんだ。
踊り子たちがくるくると踊っていたり、紐でつながれた熊が曲芸をしていたり。
眺めているうちに、あちこち見物したい気持ちが湧いてくる。

「なあ、エッジ。ちょっと」
「寄り道をしているような暇は、我々には無いぞ」

けち。

だったら、こんなトコに長居しても仕方ないと思った時、スゴイ人を見かけた。
全身黒ずくめ、おまけに刀まで帯びているくせに、
あんな陽気にはしゃいでる人なんて、普通は居ないと思うよ、ぼくは。

「……出たな」

エッジが一言つぶやいた。
確かにアレなら、ぼくでも分かる。フランカーさんだ。
近寄って、決めておいた合言葉で呼ぶと、相手はますます上機嫌になった。

「おお、我が強敵(とも)よ! 拙者と同じく、祭りに馳せ参じられたか!」
「あ。いやその。ぼく達、今、北門の呪文を知ってる人を探してるんですが」
「ほう、北門の呪文か。さすが事情通よな。
 その件ならば、我が知人である、長老ロルタグが知っているやもしれぬ。
 案内して奉ろう」

相変わらず変な話し方するフランカーさんに連れられて。
ぼく達は、町はずれへと向かった。